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炉心流れの不安定振動と燃料棒の冷却限界を炉外試験で探る




図1-4 核熱結合試験装置(THYNC装置)

高温高圧(7 MPa, 286℃)に耐える電気抵抗式ボイド率計を開発し、炉外で核熱結合をコンピュータにより模擬できるシステムを構築しました。



図1-5 核熱結合模擬試験結果

構築した核熱結合模擬システムが、核動特性(ボイドフィードバック効果)を模擬していることを確認しました。上図は、外部反応度をステップ状に投入した状況を模擬しています。外部反応度を投入することによりチャンネル出力が増加し、最終的には外部反応度と負のボイド反応度とがバランスするチャンネル出力で一定になっており、ボイドフィードバック制御が行われていることがわかります。



図1-6 TRAC/SKETCHコードによる流動安定限界の予測

TRAC/SKETCHコードにより、THYNC実験による流動安定限界出力を予測できます。




 沸騰水型原子炉の炉心では核動特性と熱水力特性は常に相互に影響しあっており、これを核熱結合といいます。原子炉運転時の安定性解析手法の検証には、これまで実炉試験におけるデータが主に用いられてきましたが、計測の困難さのため炉内の熱水力パラメータに関する情報は限られていました。近年は高燃焼度燃料やMOX燃料などの新型燃料の使用が計画されていますが、安定性解析手法の検証や一層の信頼性向上のためには、核熱結合条件のもとでの多くの熱水力パラメータの取得が重要になります。
 私たちはTHYNCループにより、炉外で非核的にこのような核熱結合挙動を模擬する技術の開発に成功しました。THYNCループの主要部を図1-4に示します。この模擬技術の構築には流路断面平均ボイド率を高レスポンス(数100 msのオーダー)で計測することが重要です。このため、高温高圧(7 MPa, 286℃)に耐える電気抵抗式ボイド率計を開発しました。図1-5は、構築した核熱結合模擬システムが、核動特性を模擬していることを確認した試験結果です。THYNCループにより、炉心流動の安定限界や、流動に不安定振動が生じている場合の燃料棒の冷却限界に関して、広範な条件でデータを取得しました。
 取得したデータは、核熱結合挙動が安定限界や冷却限界に及ぼす影響の解明や、開発中の安定性評価コード(3次元核熱結合解析コードTRAC/SKETCH)の検証に用いました。図1-6に示すように、THYNC試験データにより、TRAC/SKETCHコードの流動安定限界に対する良好な予測性能を確認しました。なお、同コードは新型燃料を装荷した発電炉について原子炉安全解析所が実施した安全審査解析に活用されました。



参考文献
Asaka et al., Coupling of the Thermal-hydraulics TRAC Codes with 3D Neutron Kinetics Code SKETCH-N, OECD/CSNI Workshop on Advanced Thermal-Hydraulic and Neutronic Codes, Barcelona, 2000.

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2002
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