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原子力の基礎をささえる核データライブラリー
―最新版JENDL-3.3の完成―




図2-1 ウラン-235の反応断面積

左図には弾性散乱断面積、捕獲断面積、核分裂断面積およびそれらの和である全断面積が示されています。断面積値に見られる山谷は複合核(この場合は、入射中性子と標的核ウラン-235から形成されるウラン-236)の構造に対応しています。このような複雑な構造は理論的な予測が難しく、実験が不可欠となります。近年、検出器の性能向上等により高分解能・高精度の実験データが得られるようになりました。その結果、評価済核データの精度も向上しています。



図2-2 熱中性子炉体型でのベンチマークテストの結果

右図には原子炉の設計で最も重要な中性子実効増倍率の計算値対測定値の比が種々の炉型に対して与えられています。0.5%即ち0.995から1.005の範囲に入れば信頼度が高いとされており、JENDL-3.3は幅広い炉型に対して一様に信頼度の高い結果を与えています。
 TCA:軽水臨界実験装置
 STACY:定常臨界実験装置
 TRACY:過渡臨界実験装置
 JRR-4:研究炉(スイミングプール型)




 原子炉は中性子がウラン-235やプルトニウム-239等と衝突し、核分裂を起こすことによって生じるエネルギーを取り出す装置です。その特性を決めるのは原子炉中にあるウランやプルトニウム等の原子核と中性子との核反応です。このような種々の反応の起こる確率(断面積)を表すデータを核データと呼んでいます。実験値、理論計算値、統計学を用いて核データを求める研究を核データ評価と言い、得られたデータベースが評価済核データライブラリーになります。
 私たちは、1970年代から日本独自の評価済核データライブラリーJENDL(Japanese Evaluated Nuclear Data Library)の作成を手がけており、今般、最新版のJENDL-3.3を公開しました。これは、原研を中心とした全日本的な核データ研究の成果と言えます。JENDL-3.3は中性子と原子核の反応確率等のデータを337核種について収納しています。図2-1には、一例としてウラン-235の断面積値を示しています。
 JENDL-3.3は、最新の実験値や理論計算をもとに作成されており、原子炉の挙動等をより精度良く予測することが可能になりました。その信頼度は、ベンチマークテストと呼ばれる適用性試験により実証されています。
 図2-2は熱中性子炉体型でのベンチマークテストの結果ですが、最新版JENDL-3.3は前版JENDL-3.2や米国のENDF/B-VI.5に比べその信頼度が向上しているのがわかります。
 JENDL-3.3では核データの誤差を表す共分散データが充実されており、核データの持つ不確かさが設計に与える影響を明らかにすることができます。原子力以外の分野でも、原子核反応に関する基礎データとして、放射線医療での利用や宇宙初期における元素合成の研究など幅広い利用が期待されています。



参考文献
K. Shibata, JENDL-3.3: A New Version of JENDL General-purpose Library, Tran. Am. Nucl. Soc., Milwaukee 2001, 41 (2001).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2002
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