2-3

設計や安全評価に大いに活躍、信頼性が向上した
二相流シミュレーション技術




図2-6 キーパラメータの発見

気泡径と渦スケールとの相対的な関係により気泡の合体や乱流拡散の特性が影響されることを見出し、流路スケールによらず汎用的に適用できる物理モデルを構築できました。



図2-7 内径48 cmの垂直管内気泡流の予測

大口径管内での複雑な循環流(流路中央で上昇し、壁側で下降する)での気泡の分布などを高精度に予測できるようになりました。



図2-8 TRACY過渡実験における圧力挙動解析への応用

反応度投入速度を変えた場合の硝酸ウラニル溶液下部での圧力の過渡変化を解析しました。実験と同等の圧力挙動が計算され、ボイド率の分布図の分析から、単一パルスは放射線分解ガスの発生と液面からの離脱が、振動については液の慣性とガスの膨張収縮が復元力となっていることがわかりました。




 受動安全系の解析では原子炉の炉心上部にある大口径流路や巨大な水プールといった大口径/大空間内の相変化を含む気液二相流挙動を把握することが重要です。従来の解析モデルは内径5 cm程度までの円管による実験データに基づいており、大口径/大空間での特性を良く表現できませんでした。本研究では内径20 cmの大口径管による実験を行い、気泡径と液相渦スケールとの相対的な関係に着目することによりボイド率分布に対する流路スケール効果を統一的に説明できることをはじめて見出しました(図2-6)。開発したモデルを幅広いデータベース(内径1 cm〜48 cm、圧力0.1 MPa〜5 MPa)で検証し、同一のモデルで高精度に二相流挙動を予測できることを確認しました(図2-7)。
 開発したモデルはポーラス近似(内部構造物を空隙率で模擬)や境界適合座標の解析能力を持つACE-3Dコード(原研公開コード)に組み込みました。ACE-3Dコードは、革新的軽水炉に採用が検討されている受動的格納容器冷却系(横型PCCS(Passive Containment Cooling System))の設計解析、過渡臨界実験装置TRACYでの放射線分解ガスによる圧力波生成機構の解析的検討(図2-8)等、設計や安全評価に現在大いに活用されています。



参考文献
A. Ohnuki et al., Model Development for Bubble Turbulent Diffusion and Bubble Diameter in Large Vertical Pipes, J. Nucl. Sci. Technol., 38(12), 1074 (2001).

ご覧になりたいトピックは左側の目次よりお選びください。

たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2002
Copyright(c) 日本原子力研究所