3-2

乱れた閉じ込め磁場を自己修復する
プラズマの挙動を解明




図3-3 NEXTによる閉じ込め磁場自己修復過程のシミュレーション

(a図)凹型電流分布から平坦電流分布を経て再び凹型電流分布が構成されます。(b図)平坦な電流分布になったとき不安定性による電流の乱れ(1)(プラズマの流れ(2))が生じて(3)のような電流の集中を起こし、電流集中部分で磁力線の繋ぎ変え(4)が起こって、プラズマ中心部の電流値が下がり、再び凹状電流分布が実現します。




 核融合炉実現のための最重要研究の一つは炉心プラズマ閉じ込めの研究です。今、プラズマ閉じ込めの実験的、理論的研究と並んで「数値トカマク実験(NEXT)計画」と呼ばれる計算科学的研究が進められています。これは、理論的研究では扱えないような「複雑なシステム」をそのまま計算機シミュレーションで解いてプラズマの振る舞いを理解しようというものです。
 トカマク・プラズマ中をドーナツの輪の方向に流れる電流の分布をプラズマの表面から内側に行くにつれて強さが一旦増えて中心では再び小さくなるような形にすることで安定な閉じ込めが達成できます。ところが、閉じ込め性能をあげるために全電流を強くすると、不安定性が起こって中心部で電流分布が平らになってしまうことが予想されます。しかし、この場合でも、高温プラズマ中では粒子に対する摩擦が少ないという効果を考慮するとプラズマ中心から外れた位置に電流が集中し磁力線が繋ぎ変えられて再び中心部で電流が減少します。
 このような一連のプラズマ挙動には様々な時間尺度を持つ現象がかかわっているのでプラズマを粒子の集合として扱う複雑モデルに基づくプログラムを作って長時間のシミュレーションを行うことで、初めてその全容が理解できます。私たちはNEXTの一環としてこのようなシミュレーションを行い、上の挙動を明らかにすることに成功しました。不安定性で乱れた閉じ込め磁場をプラズマが自分自身で修復していくことがわかります(図3-3)。



参考文献
T. Matsumoto et al., Gyro-kinetic Simulations of Internal Collapse in Reversed Magnetic Shear Tokamak, 18th IAEA Fusion Energy Conference, Sorrento, Italy 2000 (International Atomic Energy Agency, Vienna, 2000), IAEA-CN-77/TH3/3.

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2002
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