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超伝導加速器の加速電界を安定化させる
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超伝導加速器は高い加速効率と加速電界が期待され、加速器駆動核変換炉等の大強度陽子加速器に最も有望視されています。原研/KEKで進めている大強度陽子加速器計画においても線型加速器の一部に採用される計画です。 超伝導空洞は自分自身の高周波電磁力(ローレンツ力)により変形し、共振周波数の変化をもたらします。特に、パルス運転の場合はパルス状のローレンツ力が作用し空洞の機械的振動と周波数の揺らぎをもたらします。大強度陽子加速器計画ではパルス運転されるため安定なビーム加速を実現するために詳細な解析が必要となります。 この問題を解決するために、空洞のダイナミックな挙動を解析するためのモデルを開発しました。これは、空洞の運動を機械的振動モードの重ね合わせで表し、機械的な挙動と電磁気的な挙動を同時に解くものです。図5-1にローレンツ力による空洞の定常的変形の様子と機械的固有振動モードを示します。低振動数のマルチセルモード、高振動数のシングルセルモード等があります。 これを用いて解析した結果、通常の励振方法(指数関数的に電圧を昇降させる:図5-2(a))では、高振動数のシングルセルモードが誘起され、ビーム加速時間領域に周波数の揺らぎが現れます。一方、コサイン形状で滑らかに空洞電圧を上げ下げする方法では(図5-2(b))このような振動は見られなくなり、ビーム加速時間内での周波数が安定化されていることがわかります。この手法により、ビーム加速時間領域で要求される許容周波数変動(50 Hz)以内に抑えることが可能となります。 |
●参考文献 N. Ouchi et al., Pulsed SC Proton Linac, Proc. of XX International Linac Conf., Aug. 21-25, Monterey, USA, WE205 (2000). |
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