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ラジウムを合成マイカで吸着し安定化する
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私たちは色々な鉱物を地中から得て利用しています。その際に尾鉱や鉱滓と呼ばれる廃棄物が出ます。特にウランや希土類などを製造する際の廃棄物は、ラジウムを多く含んでいます。ラジウムは天然の放射性物質の代表的なものですが、水に溶けやすいためこれを私たちの生活圏に入り込ませない工夫が必用です。 これまでに、色々な化合物とラジウムの反応を検討し、合成粘土鉱物のナトリウム-4マイカ(以下、Na-4マイカという。)が、ラジウムと選択的に反応し安定な鉱物になることがわかりました。その化学式はNa4Al4 Si4Mg6O20F4・xH2Oで、図7-1に示すような層状構造の含水鉱物です。層と層の間には水とナトリウムが吸着されています。ラジウムはこのナトリウムや水と容易に置換しNa-4マイカに強く吸着されます。これは、Na-4マイカが−(負)電荷を持っているため+2価のラジウムの吸着力が+1価のナトリウムより大きく、また、ラジウムは水との結合力がナトリウムより弱いためと判りました。 図7-2はNa-4マイカと天然モンモリロナイトのラジウム吸着量の比較です。縦軸のラジウムの分配係数は、吸着されたラジウム量を水中に残ったラジウム量で割って得られる吸着量の尺度です。図のように、Na-4マイカのラジウム分配係数は天然の吸着材モンモリロナイトより200倍も大きく、また、溶液中のナトリウム(Na)濃度が低下すると急に増大します。このことから、ナトリウム濃度が低い自然環境では、Na-4マイカは水に溶けたラジウムなどの優れた吸着材となることが判ります。 Na-4マイカは、天然のカオリナイトAl2Si2O5 (OH)4、酸化マグネシウムMgOなどから容易に合成できます。 これらの結果を利用し、水の浄化や金属汚染された環境の浄化に役立てる実用化の技術開発を続けています。 |
●参考文献 S. Komarneni et. al., Superselective Clay for Radium Uptake, Nature, 410, 771 (2001). |
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