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イオンビームで起こる植物の突然変異の正体は? |
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イオンビーム照射は局所的に大きなエネルギーを付与することから、誘発される突然変異は他の突然変異原によるものとは質的に異なる可能性があります。実際にこれまで、紫外線耐性のシロイヌナズナや新しい花色のキク等有用な植物を作り出すことができています。しかしながら、イオンビームによって誘発される突然変異に特徴があるのかどうかはわかっていませんでした。 そこで、実験材料として遺伝学的解析やDNAレベルでの解析に適するモデル植物であるシロイヌナズナを用い、炭素イオン(220 MeV, 150 Gy)で誘発される突然変異の誘発率および生じた変異をDNAレベルで解析しました。その結果、炭素イオンは従来利用されてきた低LET放射線(電子線)に比べ単位線量当たりの突然変異率が17倍高いこと(図9-10)、また、欠失、逆位、転座、挿入といった大きな構造変化を生じやすいこと(図9-11、図9-12)がわかりました。 これらの結果はイオンビームは突然変異原として利用価値が高いことを示しており、今後の植物の遺伝学的研究や作物育種への応用の基礎を築いた意義は大きいと考えられます。 |
●参考文献 N. Shikazono et al., Rearrangements of the DNA in Carbon Ion-Induced Mutants of Arabidopsis Thaliana, Genetics, 157, 379 (2001). |
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