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三角おむすびプラズマで高い圧力を長時間維持




図2-6 プラズマの断面形状

低三角度プラズマ(左)および高三角度プラズマ(右)は、それぞれ図2-7のA、Bに対応します。



図2-7 規格化ベータ値を維持した時間でプロットした図

ポロイダルコイルの改良により、運転領域を拡大することに成功しました。



拡大図(50KB)

図2-8 高規格化ベータ値のプラズマを長時間維持した放電の波形

11.5秒に加熱を停止するまで規格化ベータ値の高いプラズマを維持できています。




 プラズマを三角おむすび形にするとプラズマ周辺部の圧力を高くすることができ、結果としてプラズマ全体の圧力を高くすることができます(三角おむすびの度合いは専門的には「三角度」と呼ばれます)。プラズマを高圧力化することにより核融合性能も向上するので、JT-60でも三角度の高いプラズマで研究を進めてきました。プラズマの三角度を高くするためには、ポロイダルコイルに電流を多く流す必要がありますが、電源容量の上限パワー不足によりこれまでは「高三角度プラズマを短時間維持」または「低三角度(=丸い)プラズマを長時間維持」という運転しかできませんでした。
 今回、ポロイダルコイルを改良することにより「高三角度プラズマを長時間維持」という運転が可能になりました(図2-6)。同時に、プラズマ圧力を高くしたときに発生する不安定性(乱れ)を抑制する運転方式を開発することより、高圧力プラズマ(規格化ベータ値βN=2.7;ITERプラズマと同程度)をエネルギー閉じ込め時間の約60倍(7.4秒間)維持することに成功しました(図2-7)。現在、JT-60の加熱時間および高三角度プラズマを形成できる時間は10秒間です。今回の成果は、ITERで想定されている規格化ベータ値のプラズマをJT-60の装置限界まで維持できたという点で画期的な成果です(図2-8)。



参考文献
A. Isayama et al., Achievement of a High Fusion Triple Product and Steady State Sustainment in High βp ELMy H-mode Discharges in JT-60U, Proc. 19th IAEA Fusion Energy Conference, Lyon, France, 2002, IAEA-CN-94/EX/C2-2.

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2003
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