2-4 |
プラズマ回転が不安定摂動を減衰
|
![]() |
||
|
![]() |
||
|
![]() |
||
|
核融合炉の実現には高圧力のプラズマ閉じ込めが必須です。磁場でドーナツ型(トーラス)に閉じ込められたプラズマには、プラズマ側から見て磁場曲率が凹になるトーラス外側(悪い磁場曲率領域)を膨らませ易い性質があります(図2-9)。圧力勾配がある閾値を超えると、膨らみが時間的に増大する“バルーニング不安定性”が起こります。この不安定性がプラズマ保持性能を悪化させる危険があり、精力的に研究が行われてきました。 これまでに、力学的平衡状態でプラズマ回転がないとしたバルーニング不安定性の理論が確立されました。また、実際にはプラズマが回転していることを反映した研究も進められ、回転がバルーニング不安定性を安定化し、圧力勾配の閾値を上げることが明らかにされました。しかし、そのメカニズムはよくわかっていませんでした。 そこで、私たちは数値トカマク研究(NEXT)計画の一環として、プラズマの力学的平衡からのずれ(摂動)の時間発展を記述する方程式を数値的に解き、以下のことを明らかにしました。 プラズマが回転していない場合、摂動エネルギーは減衰しませんが(図2-10(a))、プラズマが回転、特に差動回転していると、周期的な減衰が起こります(図2-10(b))。この減衰が、悪い磁場曲率に対応した成長を相殺し、バルーニング不安定性を安定化していると考えられます。 また、プラズマ断面形状をD 型にすれば、(1)成長フェーズでの摂動エネルギー増加率を小さく、また、(2)成長する時間を短く出来ます(図2-11)。どちらも、D型化が悪い磁場曲率領域を相対的に減らすからです。このように、D 型化とプラズマ差動回転は相乗的な安定化効果をもたらします。 実験的にも、D 型化は高圧力プラズマ閉じ込めの鍵とされていますが、本研究はD 型化とプラズマ回転が共存・協調することを理論的に明らかにしたものです。 |
●参考文献 M. Furukawa et al., Geometrical Improvements of Rotational Stabilization of High-n Ballooning Modes in Tokamaks, Nucl. Fusion, 43, 425 (2003). |
ご覧になりたいトピックは左側の目次よりお選びください。 | ![]() |
たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2003 Copyright(c) 日本原子力研究所 |