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連続循環クロマト法により排気ガスから未反応燃料ガスを分離・精製する
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重水素とトリチウムを燃料とする核融合炉では、核融合反応により高速中性子とヘリウムが生成します。中性子は熱エネルギーに変換されますが、ヘリウムは言わば燃えカスです。このヘリウムが炉心部に滞留すると核融合出力が低下するなど、正常な炉の運転に支障が出ます。炉心からヘリウムだけを取り除くことができるとよいのですが、現有の真空ポンプはすべてのガスを混合ガスの状態で排気することしかできません。このため、真空排気装置内で排気ガスから未反応燃料を分離・回収して燃料を再利用できるようにする技術の確立が必要です。 この要求に応えるため私たちは、吸着剤を充填した長い配管に混合ガスを流し、ガスの吸着親和力の違いを利用して各成分ガスの配管通過時間に差を生じさせ、抜取りバルブの適時切り替え操作と組み合わせて混合ガスを各成分に分離する技術― 連続循環クロマト法(Continuous Circulation Chromatograph, C3 法)―を開発しました(図2-22、2-23)。 これまでに、吸着剤にモレキュラーシーブを用いて種々の組成の水素/ヘリウム、重水素/ヘリウム混合ガスがそれぞれの成分ガスに分離できることを確認しました。トリチウム/ヘリウム混合ガスにも適用できます。分離後の成分ガスに含まれる不純物の量は、質量分析計の検出限界以下です(図2-24)。この方法では、分離操作が大気圧以下の圧力で行えるため、運転中にトリチウムなどの放射性物質が外部に漏れ出す危険性が少ないという利点もあります。 本分離法を核融合炉の燃料循環システムに適用すると、燃料効率が改善されるとともに、システムが簡単になるので、低コスト化が図れるものと考えられます。 また、この方法は地球温暖化で問題になっている全フッ素化化合物PFC ガスの分離・回収にも応用できることが吸着剤に活性炭を用いた実験により確かめられ、現在その実用化も進めています。 |
●参考文献 S. Tanzawa et al., Preliminary Experiments on the Continuous Separation of Plasma Exhaust Gas, Fusion Sci. Tech., 41, 1004 (2002). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2003 Copyright(c) 日本原子力研究所 |