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高度化する軽水炉燃料に対応する燃料安全研究
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軽水炉では、燃料棒の長期間利用(高燃焼度化)やウラン−プルトニウム混合酸化物の利用、燃料ペレットを密封する被覆管の材質改良が進められようとしています。このような軽水炉燃料の高度化は、資源の有効利用や放射性廃棄物発生量の低減の点で大きなメリットを生みますが、燃料の健全性や安全性を損なうものであってはなりません。私たちは、事故条件を模擬した試験を行い、事故時における燃料の安全性を確認しています。 原子炉の安全設計にあたって想定される事故のひとつに、原子炉から冷却材が流出してしまう冷却材喪失事故(LOCA)があります。LOCA 時には燃料棒は最高1450K 程度まで過熱しますが、数分後には非常用炉心冷却系(ECCS)の作動により、冠水し、冷却されます(図3-1)。被覆管は、冠水するまでに酸化し脆化するため、ECCS作動時の熱衝撃により破断する可能性があります。また、高燃焼度化に伴う被覆管の水素吸収量の増加は、一般に被覆管の脆化を促進します。そこで、人工的に水素を吸収させた模擬高燃焼度被覆管(PWR 用ジルカロイ-4)を用いてLOCA 模擬試験を行い(図3-2)、被覆管が急冷時に破断する最も低い酸化量(破断限界)は水素吸収により低下する傾向にあることを明らかにしました(図3-3)。現在は、原子力発電所において使用された被覆管に対する試験を進めており、高燃焼度化や被覆管材質の変更が急冷時の破断限界に及ぼす影響を調べています。得られた成果は、国が行う安全審査に役立てられます。 |
●参考文献 F. Nagase et al., Study of High Burn up Fuel Behavior under LOCA Conditions at JAERI: Hydrogen Effects on the Failure Bearing Capability of Cladding Tubes, 29th Nuclear Safety Research Conference, Washington, U.S.A., October 22, 2001, NUREG/CP-0176 (2002). |
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