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自己再生する自動車排ガス浄化触媒
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世界で初めて貴金属が自己再生するインテリジェント型の自動車排ガス浄化触媒を、ダイハツ工業(株)と共同で開発することに成功しました。Spring-8の放射光を用いて、そのメカニズムを明らかにすることにより、貴金属資源の大幅な節約を可能にしました。 ガソリン自動車のエンジンからは窒素酸化物(NOx)、ガソリンの未燃焼成分である炭化水素(HC)と一酸化炭素(CO)が生成されますが、これらを無害な二酸化炭素、水、窒素、酸素などに変えるのが自動車触媒です。触媒には、白金、ロジウム、パラジウムなどの貴金属が多量に含まれています。 近年の厳しい環境基準に対応し、図5-10 のようなエンジン直下に搭載できる耐熱性の高い触媒の開発が焦点となっています。 高温の排ガス環境下では貴金属粒子が移動・合体・肥大化し、その表面積が減少するのが活性低下の原因でした。貴金属粒子の肥大化を防ぐため、貴金属をペロブスカイト酸化物に複合させました。この新型触媒は、アクセルペダルの操作などで起こる排ガス中の酸素濃度の変動に対して構造的に応答し、貴金属をペロブスカイト酸化物内に取り込んだり、外に吐き出したりを繰り返します。 その結果、触媒は自動車の運転中に自然に若返り、貴金属粒子は新品同様の小さいサイズを保ったまま、活性を維持し続けます(図5-11)。 この貴金属粒子の自己再生メカニズムが明らかにされたため、これまで大量に消費されていた貴金属を7割から9割削減しても、より高活性を維持することが可能になりました。 |
●参考文献 Y. Nishihata et al., Self-Regeneration of a Pd-Perovskite Catalyst for Automotive Emissions Control, Nature, 418, 164 (2002). |
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