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高温ガス炉の熱を水素エネルギーに
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原研は、原子力エネルギーを用いることにより環境保全性・経済性の高い大量の水素製造技術の確立を目指しています。水素製造方法として、水を原
料とし、高温ガス炉の熱を用いて水素を製造できる熱化学法ISプロセスが注目を集めています。ISプロセスは、本方法で用いる物質のヨウ素(I)と硫黄
(S)から名付けられました。 ISプロセスを実用化するためには、安定的かつ連続的に長時間プロセスを運転することが必要です。本プロセスでは、原料、製品以外に閉じた状態にて三つ の化学反応を同時進行で生じさせますので(図1-6)、安定な運転を行うためには、これらの反応を協調動作させることが不可欠となります。私たちは、この 協調を実現するには、酸の生成反応を制御して溶液組成を一定に維持することが重要であることを見出しました。そこで、この反応制御を行って、安定な水素製 造ができるかどうか水素製造装置(図1-7)を用いた試験を行いました。 酸の生成反応において生じた溶液は、酸の分離にて硫酸に富む溶液(硫酸相)とヨウ化水素に富む溶液(ヨウ化水素相)の二つの溶液に分けられます。これら の溶液を試験中に定期的にサンプリングして組成(溶液に含まれる物質の割合)を調べたところ、ほぼ一定でした。この結果は、酸の生成における反応制御が有 効に機能したことを示しています。そして、予想通り、図1-8に示すように、20時間にわたり安定な水素製造を行うことができました。 なお、本研究内容は文部科学省から原研が受託して実施している電源特会「核熱利用システム技術開発」の「水素製造システムの技術開発」により得られた成果の一部です。 |
●参考文献 S. Kubo et al., A Demonstration Study on a Closed-Cycle Hydrogen Production by the Thermochemical Water-Splitting Iodine-Sulfur Process, Nucl. Eng. Des., 233(1-3), 347 (2004). (https://doi.org/10.1016/j.nucengdes.2004.08.025) |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2004
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