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超難溶性燃料の研究開発
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Puは貴重な燃料資源ですが、同時に毒性も強く、かつ核兵器の原料にもなる物質です。再処理によって回収されるPu量が消費量を大きく上回った
り、アメリカ・ロシアにおける核兵器解体のため余剰Puが生じた場合に環境安全性と核不拡散性に優れた処理方式を確立することが必要となります。そのため
に現在稼働中の軽水炉を用いてPuを燃焼し、使用済燃料を直接処分するワンススルータイプのROX[Rock-like
Oxide;岩石型]燃料(図1-9)の研究開発を行っています。ROX燃料はUO2燃料やMOX燃料と異なり燃焼中に新たにPu
を生成しないため装荷したPuをほぼ完全に燃焼させることができ、また地質学的に安定で鉱物と似たZr酸化物(ジルコニア)やMg、Al酸化物(スピネ
ル、コランダム)で構成されているため安定な廃棄物として処分できることが十分期待できます。使用済ROX燃料の直接処分の可能性を示すためには、燃料が
地下水と接触した際にどれくらいの速度で溶けだすのかを定量化する試験、浸出試験を通して処分後も地質学的に安定であることを実証することが重要です。 JRR-3で4サイクル照射したROX燃料に関する浸出試験の結果、ROX燃料の主構成元素のZrの浸出速度は高レベル廃棄物用ガラス固化体の骨格元素 であるSiに比べ1/1000以上もゆっくりと溶けることが分かりました(図1-10(a))。これは例えば一辺1cmのジルコニアのさいころが溶けきる のに10万年近くかかることを意味します。またROX燃料中の135Cs (超長半減期β核種で、直接処分評価上重要核種の一つ)は1/100ほどゆっくりと(図1-10(b))、その他の超長半減期β核種もガラス固化体に比べ ゆっくりと溶解することが明らかとなりました。これらの結果より使用済ROX燃料は地層中でも十分に安定な廃棄物となることが確認されました。 |
●参考文献 K. Kuramoto et al., Durability Test on Irradiated Rock-Like Oxide Fuels, J. Nucl. Mater., 319, 180 (2003). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2004
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