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自動制御により磁場の乱れの抑制に成功
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国際熱核融合実験炉(ITER)や将来の核融合炉においては、自己点火条件を満足する燃焼プラズマを長時間運転することが想定されていますが、このためには高い圧力(温度×密度)のプラズマを定常的に維持することが必要です。しかし、プラズマの圧力が高くなると、プラズマ中に局部的な電流の減少を伴う磁場の乱れが発生しやすくなります。この乱れが発生すると、プラズマ圧力が低下、すなわちプラズマ性能が劣化してしまうので、乱れを抑制することが必須課題となっていました。原研では、電流欠損部(乱れの位置)に高周波を入射して電流を流すことで乱れを抑制できることを実証していました。この成果の次のステップとして、乱れが発生している位置をリアルタイムで検出・追跡し、その位置に高周波を入射することで乱れを抑制することが課題となっていました。 原研ではこの技術を確立するため、磁場の乱れの位置を同定するシステムの高速化、及び高周波の入射位置を制御する可動ミラーの高速応答化に取り組み、両者を連動させて磁場の乱れを自動的に抑制する制御システムを世界で初めて開発しました(図2-1)。このシステムをJT-60で使用することにより、高い圧力のプラズマにおいて発生した磁場の乱れを自動的に抑制し、圧力を高く維持することに成功しました(図2-2)。ITERではこれまで磁場の乱れによりプラズマ圧力が低い状態に制限されると予想されていましたが、今回開発した技術を用いて磁場の乱れを抑制することにより、定常運転において目標とされる圧力まで高くできる見通しを得ました。今回実証したプラズマの高圧力化は、発電単価の低い経済的な核融合炉を実現するための道を開くものと考えられます。 |
●参考文献 A. Isayama et al., Achievement of High Fusion Triple Product, Steady-State Sustainment and Real-Time NTM Stabilization in High βp ELMy H-mode Discharges in JT-60U, Nucl. Fusion, 43(9), 1272 (2003). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2004
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