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高電子温度達成により高効率で電流を発生
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トカマク装置では高圧のプラズマを装置内に閉じ込めておくためにプラズマ中に電流を流す必要があります。特に核融合炉では定常運転が必要とされ
るため、大電流を流し続けなければなりません。従来の変圧器の原理による手法では、プラズマ外部に設置したコイルを1次回路、プラズマを2次回路とする変
圧器の1次回路の電流を増加させ続けている間、2次回路であるプラズマ中に電流を流すことができますが、1次回路の電流をいつまでも増加させ続けることは
できませんから、プラズマ中に電流を流せる時間には限界があります。そこで本研究ではミリ波帯高周波によりプラズマ中に電流を流しました。この手法では、
高周波を入れ続けることで、変圧器の原理によらずに電流を流し続けることができます。また同時にプラズマを加熱することができます。 JT-60トカマクにおいて、プラズマに対して斜めに入射した2.3 MWのミリ波帯高周波(110 GHz)による加熱でITERクラスの2億4千万度の高電子温度を達成しました。波は、波と同方向に運動する電子のみを選択的に加速するため、波と同方向 の電子の流れ(電流)が増加します(図2-5)。この原理によりプラズマ中に74万アンペアという大電流を発生しました。波により加速された電子はプラズ マ中の電子やイオンと衝突して減速しますが、温度の高いほど衝突しにくく減速しにくいため、波による加速の効果がなくなるまでに、多くの電流を流すことが できます。このため、図2-6(a)に示しますように、電子温度が高くなるほど駆動される電流は大きくなります。2億度以上に電子温度が増加したことによ り、高効率で電流を駆動することができました。ミリ波帯高周波により駆動した電流としては世界最高を記録しました。この成果により、ITERクラスの高電 子温度条件下で高周波電流駆動が有効であることを実証しました。 さらに図2-6(b)に示しますように、1.9 MWの別の周波数の高周波(2 GHz)を併用することで、プラズマ中心部において世界最高の3億度という電子温度も達成しました。 |
●参考文献 T. Suzuki et al., Heating and Current Drive by Electron Cyclotron Waves in JT-60U, Nucl. Fusion, 44(7), 699 (2004). (http://stacks.iop.org/NF/44/699) |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2004
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