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小型で高繰り返しレーザー発振に成功
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従来から、フラッシュランプがレーザー媒質の励起光源として広く用いられてきました。しかし、フラッシュランプを用いたレーザーシステムでは発光スペクトルが広いため、発振効率が低い、装置が大型となる、高出力で高い繰り返し発振ができない、ビーム品質が不十分などの大きな技術課題がありました。一方、半導体レーザーを励起光源とすることで、高繰り返し、高ビーム品質で発振させることができ、装置も小型化できると考えられてきました(図5-6)。しかし、この場合はレーザー媒質の発熱によるレーザー光の歪みや半導体レーザーの高出力化などに問題がありました。 私たちはこれらの問題に対して、(1)レーザー光の取り出し効率を極限まで高めるために、レーザー媒質の発熱に伴うレーザー光の歪み(不必要な集光や、偏光状態のくずれ)を補正し、レーザー媒質に蓄積されている励起エネルギーを無駄なく抽出する増幅技術、(2)レーザー光の歪み補正に用いる位相共役鏡(フッ素系不活性液体から成る)の高耐力化のために、同液体に含まれる不純物を取り除く高純度化技術、(3)半導体レーザーの高出力発振のために、半導体レーザー素子に発生した熱を高効率に冷却する技術開発を行い、問題となる技術課題を克服しました。これにより、テーブルに乗る小型サイズ(図5-7)で、毎秒1000回の高繰り返し動作、理論限界に近い高ビーム品質で、1台の増幅器で構成されるネオジムヤグレーザーシステムとしては世界最高の360 Wのレーザー光を発生させることに成功しました(図5-8)。 今回開発したレーザーシステムを用いることにより、これまでフラッシュランプが用いられていたため制約のあった高効率化(10倍以上)、高繰り返し化(100倍以上)、小型化(5分の1以下)が可能となります。また、このようなレーザーシステムの高性能化は高速で高精度な溶接、切断、穴あけといった加工への応用など産業界における利用に貢献するものと期待されています。 |
●参考文献 H. Kiriyama et al., 360-W Average Power Operation with a Single-Stage Diode-Pumped Nd:YAG Amplifier at a 1-kHz Repetition Rate, Opt. Lett., 28(18), 1671 (2003). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2004
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