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プラズマ中の帯状流の存在を実験的に確認
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核融合炉を作るには高圧力のプラズマをいかにしてより長く閉じ込めておくかが重要です。磁場閉じ込めプラズマ装置の場合、プラズマの閉じ込め性能がプラズマの揺らぎの発生により制限されることが明らかになっています。そのためこの揺らぎの性質を調べ、どのようにして制御するかが研究の重要なテーマです。これまでに、プラズマをせん断するような流れが発生するとそれによって揺らぎが抑制されることが明らかになっています。このせん断流の発生メカニズムの一つとして帯状流と呼ばれる流れが注目を集めています。概念図を図2-1に示します。この流れはプラズマ乱流の非線形結合によって自発的に発生します。この帯状流の研究は、核融合プラズマの閉じ込め特性を予測するという面ではもちろん、プラズマという非平衡系・非線形性を持つ物質の性質を明らかにするという観点からも大きな意義を持っています。 JFT-2Mでの重イオンビームプローブ(HIBP)を用いた最近の研究において、帯状流の一種である測地線音波モード(Geodesic Acoustic Mode : GAM)と呼ばれる周期的に向きが変動する流れの存在が確認されました。図2-2(a)はプラズマの流れを引き起こす電位の変動を示しています。これが周期的に振動していることは流れの向きが周期的に変動していることを表しています。HIBP計測の利点は空間電位と密度揺らぎを同時に同じ場所で測定できることにあります。これを用いて流れを引き起こす空間電位の変動とプラズマの輸送を引き起こすプラズマ密度の揺らぎを同時に観測することにより、揺らぎの変動とGAMの相関を世界で初めて実験的に明らかにしました。結果を図2-2に示します。揺らぎの強度(図2-2(b)、(d))がGAM振動(図2-2(a)、(c))と同期して変調されている様子が分かります。この変調がGAM振動と強い相関を持っていることは統計的手法によっても明らかにされています。さらに揺らぎによって引き起こされるプラズマの輸送も同じように変調されていることが初めて見いだされました。このようなプラズマ中の揺らぎとGAMの相互作用は理論的な説明もなされています。 ここで見られたような現象はプラズマ中に普遍的に存在していると考えられます。実験及び理論、シミュレーションが協力してこのような現象の研究を進めていくことが、中小の装置だけでなくITERのような将来の大型装置中に生成されるプラズマの物理現象の本質を理解することにつながります。 |
●参考文献 T. Ido et al., Electrostatic Fluctuation and Fluctuation-Induced Particle Flux During Formation of the Edge Transport Barrier in the JFT-2M Tokamak, Proceedings of 20th IAEA Fusion Energy Conference, Nov. 1-6, 2004, Vilamoura, Portugal, IAEA-CN-116/EX/4-6Rb(2005) (submitted to Nucl. Fusion). |
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