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地球温暖化の原因物質「フロン」の分離・回収・再利用
―核融合炉の燃料再利用のために開発した技術(連続循環クロマト法)を環境分野に応用する―




図2-15 連続循環クロマト法の概念図

PFCの混合ガスにキャリアガスを混ぜてカラムに導入するとPFCの各成分が分離して取り出せます。



図2-16 大規模試験装置



図2-17 CF4/C2F6混合ガスの分離・回収試験例

CF4とC2F6は吸着特性が異なるので、カラム通過時間に差が出ます。このため、適切な弁開閉操作によりそれぞれのガスを別々に取り出すことができます。




 フロンと呼ばれる全フッ素化化合物(PFCs)は、半導体製造工程等においてなくてはならない物質ですが、地球温暖化の原因物質のひとつであり、京都議定書においてその排出量削減が義務付けられています。このため、使用済みのフロンを回収し、再利用することが望まれています。これを実現するには全フッ素化化合物を分離して回収する技術が必要ですが、原研では、これまでに開発した核融合炉の燃料灰‘ヘリウム’と未反応燃料‘トリチウム/重水素’を分離・回収する技術をフロンに応用して、その分離・回収技術の開発に成功しました。
 このガスの分離・回収には「連続循環クロマト法」(図2-15)が用いられています。カラムの中には特殊な吸着剤が詰められていますが、全フッ素化化合物の種類により吸着特性が少しずつ異なるためカラム通過時間に差が生じ、各化合物を分離して取り出すことが可能です。
 これまでに培った多くのノウハウと実験データに基づいて大規模試験装置を製作し(図2-16)、試験を行った結果、CF4/C2F6混合ガスを効率良く連続的に分離することができました。この方法でフロンの回収率99%以上が実現でき、回収した特定の全フッ素化化合物ガス中の不純物は0.01%以下でした(図2-17)。



参考文献
Y. Tajima et al., PFCs Recycling System by the Continuous Gas Chromatography, Proc.2004 IEEE Int. Symp. on Semicond. Manuf., Tokyo, 401(2004).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2005
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