5-1 |
超新星爆発の光が重元素を生成した証拠を発見
|
![]() |
||
|
![]() 拡大図(28.7KB) |
||
|
![]() 拡大図(28.7KB) |
||
|
約140億年前のビックバンで、水素、ヘリウム等の軽元素が生成されました。一方、重元素は銀河系の誕生以降に、恒星の中の核反応で軽元素から生成されました。図5-1のような生成された重元素は、銀河系内の星間物質として蓄積されます。そして、今から約46億年前に、私たちの太陽系が星間物質から誕生しました。そのため、太陽系に存在する重元素の起源(天体環境、核反応)の解明は、太陽系の起源、銀河系の物質の化学進化の理解に必要不可欠です。 既に、太陽系に存在する鉄より重い重元素を構成する原子核の約99%は、s過程、r過程と呼ばれる2種類の中性子の捕獲反応で生成されたことが判明しています。しかし、残りの原子核はp核と呼ばれ、その起源は謎でした。p核は、陽子過剰領域側に位置する希少な安定同位体です。p核の起源を説明するために、高エネルギー宇宙線による生成、中性子星のX線バースト、超新星爆発の光による生成(図5-2)等の仮説が提案されていました。 本研究では、太陽系に存在する同位体の比率(太陽組成)に、一定の法則があることを発見しました。図5-3に示すように、p核とp核より中性子が2個多いs核(s過程で生成された原子核)のペアが18組存在しています。この2つの原子核は、s核の量/p核の量=23という法則を満たすことを発見しました。この法則は、図5-2に示すように既に存在していたs核より、光核反応によって、p核が生成されたことを示す証拠です。さらに、最新の天体観測による超新星爆発モデルにより、この法則が再現されることが判明しました。 本研究は、p核が超新星爆発の光核反応で生成されたことを示す証拠を発見したばかりでなく、超新星爆発、銀河系の物理進化の理解に貢献する重要な指針を与えます。 |
●参考文献 T. Hayakawa et al., Evidence for Nucleosynthesis in the Supernova γ Process: Universal Scaling for p Nuclei, Phys. Rev. Lett., 93(16), 161102 (2004). |
ご覧になりたいトピックは左側の目次よりお選びください。 | ![]() |
たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2005 Copyright(c) 日本原子力研究所 |