2.6 「国際熱核融合実験炉」の建設に必要な技術
    

 

図2-12  ITERの主要工学R&D課題

核融合炉に必要な技術が実験炉ITERによって初めて総合的に試験されます。

 

 

図2-13  工学R&Dの一例、実験炉ITERの断面とダイバータ板

ダイバータ板は反応生成物であるヘリウムやプラズマ中の不純物の排出、高い熱負荷の排出を行う部分で非常に厳しい条件にさらされます。耐熱材料である黒鉛と冷却管で構成されていますが、この構成によりITERの最大出力運転で1年程度に相当する熱の繰り返しに耐えられる試験体の開発に成功しています。

 


 実験炉ITERを建設するためには、主要な構成機器の技術を始めとして、多くの技術分野において、現在の技術水準を超える大型化、高度化などが求められます。
 EDAでは、このような機器設計の詳細な解析評価とともに、設計の妥当性を実際に確かめるために、工学規模のR&Dを行うこととしています。課題は多岐にわたりますが(図2-12)、各分野について重要な要素技術の開発が進められ、さらに、いくつかの分野では実機規模の試作・試験が国際的な分担のもとに実施されています。わが国は、超電導モデル・コイルとその試験装置、真空容器実規模モデル、ダイバータ受熱機器、プラズマ加熱・電流駆動用機器、ブランケットのモジュール試験など、多くの機器の試作開発と試験を分担実施中です。図2-13はその一例を示すものです。
 このような工学R&Dを進めることは、これらがいずれも実験炉以降の核融合炉の開発のために必須の工学技術であるところから、わが国のこれからの開発の基盤づくりとして大変重要です。


参考文献

松田慎三郎、ITER、機械の研究、Vol. 47、No.1、P115-119 (1995).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
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