2.7 世界で初めてのエネルギー回収型ジャイロトロン
    

 

図2-14  原研におけるジャイロトロンの開発

ITERに向けて着実に開発を進めています。

 

 

図2-15  エネルギー回収型ジャイロトロン

電磁波の発生を終えた電子ビームはコレクタに到着する前に減速電界で減速され、減速分のエネルギーが回収されて、効率が向上します。

 


 トカマク型核融合炉に不可欠な技術として、プラズマの加熱・電流駆動技術の開発が世界各国で盛んに行われています。
 周波数の高い電子サイクロトロン波帯(100〜300GHz)の高周波は、電磁波として導波管を利用できるとともに、光ビームとしての取り扱いが可能であること、また高い電力密度での伝送ができることなどから、核融合炉への適用性が高いものと期待されています。ジャイロトロンは、この周波数帯の電磁波を発生する装置ですが、これを高出力、高効率化する技術を開発することは大変難しい課題です。
 私たちは、電磁波発生後の電子ビームのエネルギーを回収することに着目して、ジャイロトロンの高出力、高効率化への道を拓きました。電子ビームに減速電界が加わるように工夫して、ビームのエネルギーを回収し、総合効率を上げることがポイントです(図2-15)。この総合効率は、これまでの30%台から50%に向上しました。この結果、電源容量や冷却容量などを節約でき、ジャイロトロンを使った加熱・電流駆動装置としても大幅な省力化が期待できます。これはITERのR&Dの成果としても大きな貢献になります(図2-14)。


参考文献

K. Sakamoto et al., Major Improvement of Gyrotron Efficiency with Beam Energy Recovery, Physical Review Letters, Vol.73, No.26, p.3532-3535 (1994).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
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