2.8 日米協力で進む世界最大規模の核融合燃料循環試験
    

 

図2-16  核融合炉の燃料循環システム

 

・独創技術の開発
   先進的なプロセスを開発、
   トリチウム施設で実用化、実証

・核融合炉燃料循環系の開発
   ITER規模を展開できるレベルの設計、運転データ取得

・トリチウム安全取り扱いの実証
   大量取扱実験の実績:100グラムレベル、
   1日1kgオーダーの処理、25日昼夜連続運転

・国際協力
   日本製装置の現地据付と米国製装置との結合試験、
   外国でのホット施設運転、許認可、安全基準対応

表2-3 日米共同研究の成果

 


 核融合炉では、燃焼を維持するために炉心のプラズマを常時高純度の燃料のみからなる状態に保つ必要があり、燃料である重水素、トリチウムの炉心への注入や不純物の除去を連続的に行うことが必要です。炉心では、一般に、注入した燃料の数%が燃焼するだけですので、排ガスから連続的に未燃焼の燃料を回収・精製して再使用する燃料循環システムを核融合炉本体と直結して運転する必要があります(図2-16)。燃料の一部であるトリチウムは、弱い放射性の気体ですので、燃料循環システムから、燃料や排ガスが洩れることのないよう安全上の技術の確立も大切です。
 私たちは、日米共同研究の下に、ロス・アラモス国立研究所において、世界唯一の核融合炉燃料循環システムの模擬ループであるトリチウム・システム試験装置TSTAを使って、100グラムレベルのトリチウムの燃料循環などの試験、研究を進めています。これまでに、実験炉ITERの1/5 規模の流量で燃料精製の実験などに成功し、原研が開発した燃料精製システムの性能を確認しています(表2-3)。


参考文献

Konishi, et al., Extended Operation of Reactor Scale Fusion Fuel Loop Under US-Japan Collaboration, Proc. 15th IEEE Symposium of Fusion Engineering, Oct. 11-15, 1993, Hyannis, Ma., 204.

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
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