3.2 TIARAってなに?
   イオンビームによる材料・バイオ技術の新展開 

 

This picture, 284KB

図3-5 イオン照射研究施設 TIARA

 

加 速 器
性能の例
ビーム利用の特徴
エネルギー
(MeV)
電流
(μA)
サイクロトロン
 H
5〜90
30
 Kr
210〜520
0.1
 大面積均一照射
 2次中性子利用
タンデム型
 C
0.8〜15
10
 Au
3〜18
15
 マイクロビームや他の
 加速器との複合利用
シングルエンド型
 H
0.4〜3
100
 He
0.4〜3
70
 マイクロビームや他の
 加速器との複合利用
イオン注入装置
 B
0.01〜0.4
30
 P
0.01〜0.4
30
 他の加速器との複合利用

表3-1 イオン照射装置の主な性能と特徴

  


 TIARAとは高崎研究所のイオン照射研究施設の略称です。平成3年度から利用運転を行っていたイオン加速器 -サイクロトロンとタンデム型加速器- に加えて、平成5年にシングルエンド型加速器とイオン注入装置(これも加速器の一種です)が完成し、イオンビームによる放射線利用研究を本格的に展開しています。
 従来からのガンマ線や電子線を使った放射線利用は産業技術として広く定着しつつあります。一方、高速のイオンはガンマ線や電子線とは違って、照射された物質中に高い密度の電離や励起状態を局所的に生成させたり、物質を構成する元素と異なる元素を注入したりすることができます。このようなイオンビームの特徴を生かして宇宙環境材料、核融合炉材料、新機能材料の研究、バイオ技術の研究に新展開を図ることを狙いとしています。国内外の研究機関と協力して、今後のわが国の先端科学技術の発展に寄与することに重点が置かれています。
 TIARAでは、表3-1に示すように、数十keVから数百MeV領域のエネルギーまで、ほとんどすべての元素の加速ができます。そのために各種のイオン源を備えたサイクロトロン、タンデム型静電加速器をはじめ、それらの加速器と組み合わせた複合照射効果の研究や照射中の物質の分析に利用するための加速器として、シングルエンド型静電加速器とエネルギーの比較的低いイオン注入用静電加速器の2基が稼働しています。


参考文献

JAERI TIARA Annual Report 1993 (Vol. 3).

ご覧になりたいトピックは左側の目次よりお選び下さい。



たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
copyright(c)日本原子力研究所