3.3 有機物から超耐熱材料をつくる
   

 
図3-6  電子線法によって開発した超耐熱性炭化ケイ素繊維

 

 
図3-7  開発した炭化ケイ素繊維の耐熱性

従来の熱酸化法によるものと比較して格段に優れた耐熱性を示す。

   


 炭化ケイ素繊維を金属やセラミックスと複合させ、耐熱・高強度の機器部品材料とすることが期待されています。しかし通常は残存する酸素との反応のため、1200℃で使用できなくなります。原研では、有機ケイ素系高分子であるポリカルボシラン繊維をヘリウム中で電子線照射することによって互いに橋かけ結合させ、繊維形状を保ったまま低酸素濃度の炭化ケイ素繊維を合成する技術を開発しました。これによって耐熱温度を1700℃まで向上させることができました。
 また、ポリカルボシラン繊維を酸素中で放射線照射したのち加熱処理することにより、柔軟性に富む高強度の炭化ケイ素繊維が得られました。さらに、ヘリウム中で放射線照射したポリカルボシラン繊維をアンモニア中で加熱処理すると、白色の電気絶縁性の高い窒化ケイ素繊維を得られることがわかりました。
 これらの繊維は、宇宙開発や核融合炉などで、軽量で高い耐熱性と高強度をもつ部品材料としての利用が期待されています。


参考文献

T. Seguchi et al., Heat Resistant SiC-Fiber Synthesis and Reaction Mechanisms from Radiation-Cured Polycarbosilane Fiber, Proc. 6th European Conference on Composite Materials (September 1993, Bordeaux) 51.

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
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