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石炭などを燃やした排煙中には、酸性雨の原因となる窒素酸化物や硫黄酸化物などの有害物質が含まれています。都市ごみ燃焼排煙中には、このほかプラスチックの燃焼で発生する塩化水素や有機塩素化合物のような有害物質も含まれています。さらに、塗装工場などからの排気ガス中には揮発性有機化合物などが含まれます。 原研では、電子ビーム照射により排煙主成分の窒素を電離・励起し、続いて放射線化学的な反応を経て、最終的にはそれぞれの排煙の場合に最適の方法で有害物質を除去するための研究開発を行いました。すなわち、石炭排煙の場合はアンモニア添加により硝安・硫安肥料として除去します。都市ごみ排煙の場合は粉末状カルシウム塩として除きます。この技術は現在、電力会社・自治体・企業などと共同でパイロット試験を実施し、プロセスの技術的・経済的評価を行っているほか、開発途上国への技術移転も検討されています。 |
参考文献
徳永興公 他, 電子線照射利用(4)電子線照射による環境汚染物質の処理、Radioisotopes、43、781 (1994). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995 copyright(c)日本原子力研究所 |