3.6 医療に役立つイリジウム-192
   

 
図3-12 RALS用192Ir線源照射キャプセル

 

 
図3-13 RALS用192Ir線源の断面

 

気管支
 気管支治療には、気管支鏡を通して直接挿入できる直径19mmのアプリケータを使用します。

胆汁管
 予め胆汁管に挿入されたT字導管にアプリケータが通されています。


図3-14 RALS装置による癌治療適用例

 


 最近、がんの放射線治療に使用されるようになったRALS(遠隔操作式後充填法)装置用192Ir線源は、従来のRALS用60Coに比べ形状が小さく、線量率を高くでき、さらにエネルギーが低いため、がん細胞以外の周辺の正常組織への影響が少ない特徴があり、世界的に急速に普及するようになりました。わが国においても既に数十ヶ所の医療機関に設置され、この線源の有効性が実証されつつあります。192Ir線源は、極細ワイヤーで接続するため、屈曲自在にがん患部に進入することができ、これまで困難とされていた胆道がんや気管支のような狭い部分の局所治療が可能となるなど、適用範囲の飛躍的拡大も期待されています。原研では、この線源の製造技術の開発を進めており、図3-12に示した照射キャプセルを使用し192Ir線源を試作し(図3-13)、その実用化の見通しを得ました。


参考文献

佐藤彰、他, がん治療用198Au 及び198Ir線源の製造, JAERI-M 91-020 (1991).

ご覧になりたいトピックは左側の目次よりお選び下さい。



たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
copyright(c)日本原子力研究所