3.7 熱を測ってラジオアイソトープの量を知る
   

 
図3-15 マイクロカロリメータの構造断面図

  


 ラジオアイソトープ(RI)の量は放出された放射線が物質(気体、液体、固体)に作用したときに起きる現象を利用して測定します。物質との相互作用によって失われたエネルギーが物質を構成する分子、原子を電離状態あるいは励起状態にすることにより電気、光、化学量の変化などに姿を変えます。したがって、これらの量を測ることにより放射線の量、さらにもとのRIの量を知ることが出来ます。放射線エネルギーが転化するもう一つの大切な姿は、“熱”です。熱を測ってRIの量を知る方法はピエル・キュリーらの研究以来の古い歴史を持っています。最近、原子炉照射したLi-Al合金中のトリチウム量の非破壊測定に成功しましたが、熱量以外の測定では非常に難しいものです。マイクロカロリメータ(図3-15)による放射能測定技術を確立し、192Ir線源の放射能測定に関する国際比較にも参加しました。その際、電離箱を使用した他の参加国の出した値が、線源自身の自己吸収のために、約9%低い値を示すことが判明しました。熱量測定は自己吸収の影響を受けないことから、より正確な結果をあたえると言う事実をあらためて再認識できました。


参考文献

T. Genka et al., Radioactivity Measurement of Ir-192 Wire Sources with a Microcalorimeter, Nucl. Instr. & Methods, A-339, 398(1994).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
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