4.3 原子炉内に発生したガスの除熱への影響
   


図4-4  ガスの蓄積状況

1次系内に蒸気よりも重い窒素ガスの等量を5回注入した実験結果を示します。窒素ガスは蒸気に伴われ、全て伝熱管内に流入し、蒸気の凝縮に従って、順次出口側に向かって、それぞれ#1、#2、・・#5の位置まで押し込まれ、蓄積しました。回を重ねると、1次系内圧力上昇のため蓄積するガス体積は減少します。

 


図4-5  ガス注入時の1、2次系圧力と伝熱管有効伝熱面積率

非凝縮性ガス注入実験時のガス注入量と1、2次系圧力及び伝熱管の有効伝熱面積率の関係を示しています。伝熱管有効伝熱面積または伝熱管体積の減少によって1次系内の圧力は上昇しますが、その上昇の割合は比較的小さく、伝熱管有効伝熱面積が10%程度に減少しても、1次系圧力が極端に上昇することはありません。2次系圧力は、非凝縮性ガスの蓄積によってほとんど影響を受けません。

 


 シビアアクシデントの際には、自然循環による除熱機能が期待されています。しかし、燃料被覆管が酸化すれば水素ガスが発生します。また、緊急炉心冷却のために蓄圧注入系から注水すると、蓄圧用の窒素ガスが一次系に混入することも考えられます。これらの非凝縮性ガスが蒸気発生器伝熱管内に蓄積するようなことがあれば、冷却材の自然循環を阻害するおそれがあります。
 LSTFを用いた実験によって、非凝縮性ガスが自然循環時の除熱機能を阻害せず、かつ、自然循環による崩壊熱除去機能には十分な余裕のあることが確認されました。


参考文献

Y. Kukita et al., ROSA-V Program Integral Experiments on Preventive Accident Management Measures, 3rd Workshop on Severe Accident Research in Japan (SARJ-92), Tokyo, 1992.

ご覧になりたいトピックは左側の目次よりお選び下さい。



たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
copyright(c)日本原子力研究所