4.5 動き始めた燃料サイクル安全工学研究施設
   

 

図4-7 NUCEF実験棟鳥瞰図

  


 原子力発電所から取り出された使用済燃料をリサイクル(再処理)する際、ウランやプルトニウムは硝酸に溶かされて化学的に処理されます。これらの硝酸水溶液も条件が揃えば核分裂反応を起こすので、取り扱いには十分な注意が必要です。
 STACYは、燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)実験棟にある定常臨界実験装置と呼ばれる実験用原子炉です。溶液状燃料を用いるわが国唯一の装置で、硝酸水溶液中のウランやプルトニウムが核分裂を起こす条件を確かめます。STACYを用いた研究成果は再処理施設の安全性や経済性を高めるために利用されます。
 平成7年2月23日、プール水中に置かれたステンレス鋼製の円筒タンクに約113Lの硝酸ウラニル水溶液(10重量%の濃縮ウラン約35kg)を注入して、STACYは初めて臨界を達成し(自力で核分裂反応を一定に維持)、十分な実験精度と機器の正常動作とを確認することができました。


参考文献

辻野毅、他, 動き出す燃料サイクル安全工学研究施設−NUCEF計画の現状と展望−, 原子力工業, 40(5), 9(1994).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
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