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近年日本の周辺諸国にも原子力発電所が増えてきており、そのいずれかで万が一大規模な事故が起きると、チェルノブイル事故のときのように放射能がわが国に到達する可能性があります。このため放出された放射能が到達するまでの動きを時々刻々予測(実時間予測)することが重要です。原研では既に国内の原子力発電所について実時間予測システムSPEEDIを完成し実用化しています。このシステムを国外の発電所にも適用できるように拡張した世界版システム(WSPEEDI)を開発しました(図4-17)。世界の気象データを用いて電子計算機により放射能の行方を迅速に予測することができます。 予測精度を向上させるために、現在ヨーロッパ広域拡散実験(ETEX)への参加など、国際協力により研究を進めています。ETEXではトレーサガスが放出され、それと同時に各国に放出の情報が伝えられ、各国は予測結果を迅速に実験本部に通知しました。原研では放出情報の受信後3時間で60時間先までのトレーサガス濃度分布を予測して、通知しました。図4-18がその1例です。各国の予測結果は測定された濃度分布と詳細に比較されます。 |
参考文献
M. Chino et al., SPEEDI and WSPEEDI: Japanese Emergency Response System to Predict Radiological Impacts in Local and Worldwide Areas Due to Nuclear Accident, Radiation Protection Dosimetry , 50, 145 (1993). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995 copyright(c)日本原子力研究所 |