5.1 高温工学試験研究
  

  

図5-1 高温工学試験研究の進展

 


図5-2  先端的基礎研究の提案内容と研究がもたらす波及効果

提案項目のうち半数は材料に関するものですが、そのほかにも多くの分野にわたっており、原子力ばかりでなく、幅広い分野に波及効果を及ぼすと予想されています。

  


 高温ガス炉は、1,000℃に近い高温の熱を発生することができる上に、固有の安全性が極めて高いこと、また燃料の燃焼度が高いことなどの優れた特性を持っています。
 原研は、昭和44年から、高温ガス炉の研究開発を開始しました。そして、昭和62年には、国が定めた「原子力開発利用長期計画」に従って、それまでの研究開発の成果に基づいて、高温工学試験研究炉(HTTR:High Temperature Engineering Test Reactor)を建設することとなりました。
 HTTRは、建設・運転を通して、高温ガス炉技術の基盤の確立と高度化を目的として、また高温工学に関する先端的基礎研究ができる原子炉です。図5-1に示したように、HTTRを用いて、高温ガス炉の固有の安全性を確認するための安全性実証試験、原子力の利用分野を拡大することができる高温核熱利用プラントを接続した試験、また高温工学の先端的基礎研究のための照射試験が計画されています。
 一方、HTTRにおける高温照射試験では、ブロック燃料を用いているため大型の試料を試験することができるほか、炉心が高温であるため400〜1,000℃という高い温度での照射ができます。この高温照射試験による先端的基礎研究のテーマは、これまでに広い分野にわたり数多く提案されました。図5-2は、先端的基礎研究の内容を取りまとめたものです。これで明らかなように将来の技術革新の契機となる新技術が期待されています。


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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
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