図5-3 HTTRの設計、建設、運転スケジュール |
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表5-1 HTTRの基本仕様
図5-4 原子炉建家の構造説明図 |
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高温工学試験研究炉(HTTR)は、原研大洗研究所の南西側の台地約50,000m2(200m×250m)の敷地で、図5-3のスケジュールに従って建設中です。平成9年度には初臨界に達成することを目指しています。 HTTRは、黒鉛減速のヘリウム冷却型原子炉で、出力は30MWです。表5-1にHTTRの基本仕様を示しました。原子炉冷却材ヘリウムの温度は原子炉入口で395℃、出口では、通常は850℃、高温試験運転時には950℃まで昇温することにしています。 原子炉建屋の構造を図5-4に示しました。原子炉建屋は、地下3階、地上2階で高さ約24m、平面約48m×50mのほぼ正方形となっています。建屋の建設中の写真が図5-5にあります。建屋内部には、原子炉本体、原子炉冷却設備、工学的安全設備、計測制御系統施設、電気施設、放射性廃棄物廃棄施設、実験施設などを設置します。 原子炉建屋の周囲には、冷却塔、機械棟、使用済燃料貯蔵建屋などを配置することにしています。また将来建設を予定している熱利用施設の敷地を確保してあります。 HTTRの燃料は被覆粒子を黒鉛粉末と焼結したコンパクト、コンパクトを黒鉛のスリーブに入れた燃料棒、この燃料棒を六角形の黒鉛ブロックに挿入した燃料要素の順に組み立てられます。六角柱状燃料要素を積重ねると炉心が構成されます。冷却は、燃料棒とブロックのすき間、円環状の冷却チャンネルで行われます。 炉心の中の材料は酸化ウランと黒鉛ですからきわめて耐熱性に優れているわけです。 原子炉の炉体は、炉心とその周囲の黒鉛反射体を、鋼製の圧力容器に納めた構造になっています。冷却材は、原子炉圧力容器の底部に接続した二重管の外管と内管のすき間から容器内に入り、容器に沿って炉心の上部に達します。その後、炉心内の冷却チャンネル内を下降し、高温になって、炉心下部の高温プレナムという室で混合され、二重管の内管に向かって原子炉圧力容器から出て行きます。 HTTRの冷却系は主冷却系と補助冷却系で構成されています。 主冷却系は、原子炉の通常運転時の冷却を行う設備で、中間熱交換器、加圧水冷却器などが配置されています。 補助冷却系は、異常な温度変化が生じた場合に、冷却材ヘリウムを強制循環させることにより炉心を冷却する設備です。この系統には補助冷却器が配置されています。 さらに、炉心の強制循環ができないことまでも考えて、原子炉圧力容器の外側から冷却できる炉容器冷却設備を設けています。 中間熱交換器(IHX:Intermediate Heat Exchanger)は、原子炉から得られる高温の熱を2次冷却材ヘリウムに伝える設備です。このためIHX自体は非常な高温になります。IHXは二重胴構造になっており、高温の冷却材が耐圧力構造物に直接触れないようにして、健全性を保つ工夫がしてあります。 高温二重管は、高温高圧のヘリウムを熱交換器に導く配管で、高温になるため二重管構造になっています。高温ヘリウムは、断熱材を設けた内管の中を流れます。熱交換器または冷却器で冷やされたヘリウムは内管と外管のすき間を逆方向に流れ、原子炉にもどります。このようにして、圧力は温度の低い外管で受け持つことになり、配管の健全性を保つようにしているわけです。 |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995 copyright(c)日本原子力研究所 |