5.3 あらかじめ原子炉の安全性を確かめる
  

  

図5-6  大型構造機器実証試験ループ(HENDEL)の外観

 


図5-7  燃料棒からヘリウムガスへの熱伝達率と流量の関係

燃料棒の熱伝達率は従来の設計式よりも高く、燃料設計に余裕のあることがわかりました。

 

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図5-8 炉心支持部及び圧力容器の温度分布(ヘリウムガス温度 1000℃)

炉心支持部を構成する要素及び圧力容器の温度は設計温度よりも低い値を示し、要素は十分に安全な温度状態にあることがわかりました。

 


 大型構造機器実証試験ループ(Helium Engineering Demonstration Loop:HENDEL) は、日本で最初の高温ガス炉(高温工学試験研究炉)を建設するために、原子炉の安全性と独自の設計・製作技術を確かめる目的で建設された、世界最大のヘリウムガス試験ループです。
 HENDELには、高温工学試験研究炉で最も重要な炉心燃料体と炉心を支える支持構造物の実物大モデルがあり、これらにヘリウムガスを流して最高1000℃まで加熱し、燃料棒からヘリウムガスへの熱の伝わり状態や炉心支持部の温度分布状態などを調べてきました。これにより、燃料棒の熱伝達率は従来の設計式よりも高いこと、炉心支持部などの温度分布は炉心設計で想定していた温度よりも低い状態に維持できることなどがわかり、高温工学試験研究炉は安全な原子炉であることが確かめられました。また、HENDELの建設や運転を通して、原子炉の製作技術と運転技術を蓄えることができました。


参考文献

宮本喜晟、他、大型構造機器実証試験ループ(HENDEL)の試験部による高温ガス炉用燃料体・炉内構造物の実証試験、JAERI 1333 (1995).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
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