5.4 より高温に耐える高性能の燃料をつくる
  

  

図5-9 高温長時間加熱後のZrC 被覆燃料粒子(1600℃、4500時間)

加熱によるZrC 被覆燃料粒子の異状は認められませんでした。

 


図5-10 照射後加熱によるSiC及びZrC被覆粒子の破損率

2400℃まで加熱してもZrC被覆粒子の破損は見られませんでした。

 


 高温ガス炉の燃料は、酸化ウランなどのセラミック材料で作られており、1300℃ぐらいの温度でも使用できます。もし使用温度をもっと上げることができれば、高温ガス炉で得られる温度が上り、熱効率などがよくなり、高性能の高温ガス炉になるわけです。
 そこで、これまでに被覆粒子の被覆材料に使われていた炭化ケイ素(SiC)の代りに炭化ジルコニウム(ZrC)を用いると、耐熱性が非常によくなります。図5-9は、照射後の炭化ジルコニウム被覆粒子燃料を1600℃で4500時間加熱試験した後に検査のため切断した写真です。これでわかるように異状は認められておりません。図5-10は、加熱による破損率を示したものです。炭化ジルコニウム被覆粒子燃料は、2400℃まで加熱しても破損しておりません。また別の試験では、核分裂生成物を粒子内に閉じ込める性能にも異状は認められませんでした。


参考文献

K. Fukuda et al., Research and Development of HTTR Coated Particle Fuel , J. Nucl. Sci. Technol., 28(6), 570 (1991).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
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