7.3 原子炉設計者を支援するコンピュータシステム
    


図7-3  IRDSの全体構想と関連要素技術

IRDSは、ワークステーションに代表される最新の計算機環境を基盤としたソフトウェアシステムです。

 


図7-4  鳥瞰図や等高線図を用いた計算結果の可視化

鳥瞰図や等高線図を用いた計算結果の可視化により、計算結果を容易に把握することができます。本図は、プルトニウム燃料軽水炉の熱中性子束分布を部分的に表示させています。

 


図7-5  熱流動設計分野における窒化物と酸化物に対するピン径対ピンピッチに関する設計ウィンドウの比較

熱伝導率の大きい窒化物の方が径が太くできることがわかります。

 


 原子炉設計では、原子炉の持つ特性を解析計算によって明らかにし、その結果が要求性能を満足しない場合には、設計案や要求性能に修正を加えていく作業を繰り返し、最適と思われるシステムを見つける循環的な探索が必要です。従来計算機は、主に解析計算の実行のみを担っていましたが、原子炉知的設計システムIRDSは、グラフィカルユーザインターフェースや人工知能技術の進歩を取り入れ、設計案の作成・解析・評価・修正といった一連の設計作業を計算機で強力に支援する環境を提供しています。設計者の直感やイメージを大切にした人に優しいインターフェースにより、計算機と対話的に設計を進めることができます。その分、各種データベースや知識ベースを整備し、従来専門家が経験を基に行ってきた作業を計算機で行っています。また、パラメータサーベイを行い、要求性能が満足される設計パラメータの範囲(設計ウィンドウ)を明らかにし、最適設計点を探索していく設計評価作業を直接支援します。


参考文献

久語輝彦、他、 知的原子炉設計システム(IRDS)用炉心熱流力設計モジュールの開発、JAERI-Data/Code 94-001 (1994).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
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