(a) | 円柱状欠陥の導入
高エネルギー重イオンを高温超電導物質に照射した時生ずる円柱状欠陥の概略図。 |
(b) | 円柱状欠陥の電子顕微鏡写真
丸く見えるのが円柱状欠陥。 |
(c) | 一個の円柱状欠陥の拡大写真
中心が非晶質となっています。 |
図9-7
中性子照射したLi2Oペレット断面の光学顕微鏡組織
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電気抵抗ゼロの状態つまり電力の消費なしに電気を流せる材料を超電導材料といいます。 超電導材料は通常液体ヘリウム温度(4.2K)での動作が必要でしたが、最近発見された高温超電導材料を用いることによって、液体窒素(77K)での実用化が可能になりました。しかし、この材料は磁場をかけた状態で、臨界電流密度(電気抵抗ゼロで流せる最大の電流)が小さいという欠点を持っています。これを克服する研究が、世界各国で精力的に行われています。加速器からのイオンを材料に照射して欠陥を作り、磁場による磁束を動かないように止めておく方法もその一つです。原研での実験から高エネルギーの重イオンを材料に照射することによって、臨界電流密度が大幅に改善されることがわかりました。図9-7(a)に高エネルギー重イオン照射による円柱状の欠陥の概略を示しました。また、図9-7(b)と図9-7(c)はその電子顕微鏡写真で直径約7nmの円柱状欠陥が出来ていることを示しています。この欠陥を入れた時の臨界電流の変化を図9-8に示しました。測定温度30Kでは、2桁ほど臨界電流密度が増加しています。 |
参考文献
Xinghua Gao et al., Effects of 230MeV Au14+ irradiation on Bi2Sr2CaCu2Ox, Physica C., 250(3-4), 325 (1995). |
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