10.2 新しい可変偏光アンジュレータの開発
  

 

(a) 新型可変偏光アンジュレータ

 
(b) 永久磁石配列


図10-5  ギャップの上下に取り付けられた永久磁石アレイをそれぞれ水平(⇔)方向にスライドさせることによって、偏光の種類を変えることができます。

 

 


図10-6  小型電子蓄積リングJSRで測定された放射光パターン

本考案のアンジュレータを用いて、円偏光や直線偏光した放射光が容易に発生可能となりました。

 


 アンジュレータは、電子蓄積リングに取りつけ高輝度の放射光を発生させる挿入光源の一つで、SPring-8などの第3世代放射光施設の特徴となる重要な構成機器です。最近の放射光利用研究は高度化の時期を迎え、従来の白色光に加え偏光ビームを利用したいという要望が研究者の中で増えてきました。平板型可変偏光アンジュレータは、これらの要望に応えるものです。この装置は、図10-5に示すようにギャップの上下に取り付けられた平板型の永久磁石アレイからなり、水平Z軸方向に入射した高速の電子ビームを蛇行させ、高輝度の放射光を発生します。ここで、上下の永久磁石アレイを水平(⇔)方向にスライドさせることにより、円偏光や直線偏光などの偏光ビームを自由に選択して発生することができます。図10-6には、この装置を原研の小型電子蓄積リングJSRに装着して偏光された放射光を観測した結果が示されています。


参考文献

S. Sasaki et al., A new undulator for generating variably polarized radiations, Jpn. J. Appl. Phys. 31 L1794 (1992).

ご覧になりたいトピックは左側の目次よりお選び下さい。



たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
copyright(c)日本原子力研究所