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原子炉の運転によって、燃料の中に強い放射能をもつウラン元素や核分裂生成物が発生します。これらは、使用済み燃料を再処理する過程で、高レベル放射性廃棄物として排出されます。高レベル放射性廃棄物の放射能は、崩壊によって自然に減衰していきますが、十分弱くなるまでには非常に長い時間がかかります。このため、高レベル放射性廃棄物をどのように処理処分するかということが、原子力の開発利用を進めるうえで、もっとも重要な課題の一つとなっています。 高レベル放射性廃棄物に含まれる長寿命の放射性核種を分離・回収する技術を群分離といいます。分離された長寿命の放射性核種を、放射能が短期間に減衰する短寿命の核種に、あるいは放射能をもたない安定な核種に変換する技術を、消滅処理といいます。群分離と消滅処理の技術を開発することによって、高レベル放射性廃棄物をより効果的に、より安全に処理処分することができるようになります。 群分離・消滅処理の研究は、1988年から開始された国の「群分離・消滅処理技術研究開発長期計画」のもとで行われています。この計画はOMEGA計画と呼ばれています。原研のほかに動燃事業団、電中研においても研究開発が行われています。また、日本のOMEGA計画の発足をきっかけとして、フランスなど諸外国においても群分離・消滅処理に関する関心が高まり、研究開発が盛んになってきています。 原研の群分離研究では、高レベル放射性廃棄物を、超ウラン元素、ストロンチウムとセシウム、白金族元素およびその他の4つの元素群に分ける、溶液化学的群分離プロセスの開発を進めています。消滅処理については、多量の長寿命放射性核種を短時間のうちに効率的で効果的に消滅処理することを目的として、消滅処理専用のシステム(加速器駆動システムおよび専焼炉)の研究を行っています。あわせて、大強度加速器の開発や基礎的デ−タの取得、整備を進めています。また、研究を効率的に進めるため、国内の協力はもちろんのこと、OECD/NEAやIAEAなどにおける国際協力を積極的に行っています。 |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995 copyright(c)日本原子力研究所 |