11.2 新しいプロセスで高レベル廃棄物を分別する
  

 

図11-2 開発中の4群群分離プロセス

 


図11-3 NUCEF内に完成した群分離試験施設

  


 使用済み燃料の再処理によって発生する高レベル廃液中には、半減期が百万年以上にも及ぶ超ウラン元素、放射能が強く発熱の大きいストロンチウムおよびセシウム、貴金属のテクネチウムや白金族元素が含まれています。
 群分離とは、これらの元素の特性に応じて高レベル廃液中の元素を分離することであり、これによって極端に半減期の長い超ウラン元素の消滅処理や貴重な核種や元素の有効利用が可能となります。
 現在は、高レベル廃液中の元素を4群に分離するプロセス(図11-2)を開発し、ここでは、超ウラン元素の分離にジイソデシルリン酸(DIDPA)による溶媒抽出法を用いています。
 この方法は、原研が独自に開発したもので、超ウラン元素の非常に高い回収率が期待できます。たとえば、アメリシウムおよびキュリウムについては、実際の高レベル廃液を用いた実験で99.99%の抽出率を、ネプツニウムについては模擬廃液を用いた実験で99.95%の抽出率を得ました。また、DIDPAは、アメリシウム、キュリウムと希土類元素(RE)との分離にも適用できることが大きな特徴です。
 これまでの成果を基に、新しい施設であるNUCEFにおいて実廃液試験施設を完成(図11-3)させたところであり、プラント化を目指した化学工学的観点からの研究を進めていきます。


参考文献

M. Kubota et al., Development of a Partitioning Process for the Management of High-Level Waste, Proc. of Intern. Conf. and Technol. Exposition on Future Nuclear Systems: Emerging Fuel Cycles and Waste Disposal Options-Global '93, Sep. 12-17, Seattle, WA. USA. 588.

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995
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