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加速器を用いた消滅処理システムの概念検討を進めています。これまでに、工学的に成立性のあるシステム概念の見通しを得ています。提案しているシステムは、大強度の陽子加速器と核破砕ターゲット、未臨界ブランケットを組み合わせたものです。高いエネルギーまで加速した陽子をターゲットの原子核に衝突させると、原子核が壊れ、多数の中性子が放出されます。この反応を核破砕といいます。核破砕反応を直接利用して、また発生する多数の中性子による核分裂を利用して消滅処理を行います。加速器で駆動する消滅処理システムの特長は、原子炉と異なって未臨界で運転できるため、臨界にかかわる安全性に優れていること、設計上の自由度が大きいことなどです。 図11-4は、加速器駆動消滅処理システムの概念です。このシステムでは、大型の発電用原子炉約10基から排出される超ウラン元素を消滅処理できます。また、未臨界ブランケットで発生した熱を回収して発電を行い、陽子加速器の運転に必要な電力を十分に自給することができます。 原研は、加速器を用いた消滅処理の試験を行うために大強度陽子加速器の建設を計画しています。これに向けて加速器要素の技術開発と試験を進めています。これまでに、エネルギー2MeV、ピーク電流52mA、デューティー5%の加速に成功しました。 |
参考文献
T. Takizuka et al., Conceptual Design Study of an Accelerator-based Actinide Transmutation Plant with Sodium-Cooled Solid Target/Core, Proc. Int. Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Separation and Transmutation, ANL, (1992). 397. |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1995 copyright(c)日本原子力研究所 |