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原研が目指している“定常トカマク炉”を実現するためには、圧力の高いプラズマの良い閉じ込めとプラズマ電流を定常的に流し続ける“完全非誘導電流駆動”を両立させる必要があります。これまでのJT-60の実験では、圧力の高いプラズマの閉じ込めによって、プラズマ中に自然に生ずる“自発電流”が後者の目的に有効に利用できることを示しました。一方原研の理論的研究は、この自発電流に加えて外部から非誘導的に電流を流し、プラズマの中心部で電流密度が低く、周辺部で高い凹んだ形の電流分布をつくれば、圧力の高いプラズマを安定に実現できることを予測していました。 JT-60では最近の実験で、加熱の仕方を工夫して過渡的にこのような中凹みの電流分布をつくり(電流分布の“整形”)、理論の予測どおり優れたプラズマの性能が得られることを確認しました。図2-3は閉じ込めの様子です。プラズマの熱を逃げにくくするバリア(内部輸送障壁)がはっきりと形成され、イオン・電子ともに閉じ込めが改善されています(標準的閉じ込めの2.6倍)。とくに電子密度と温度にこのような明確なバリアを観測したのは世界初の成果です。図2-4は、マイクロ波(低域混成波)を入射して中凹みの電流分布を定常的に維持できることを示した、これも世界初の実験です。 |
参考文献
H. Kimura and the JT-60 team, Recent Results from High Performance and Steady-state Researches in the JAERI Tokamak-60 Upgrade, Physics of Plasmas, 3 (5), 1943 (1996). |
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