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普通固体からの放出ガス量は一定容積の容器中での放出ガスの圧力上昇から求めています。圧力測定は、感度は高いのですが、容器壁の条件等が複雑で誤差がはいります。固体に吸蔵されたガスの重量を直接天秤で計れば誤差の入る余地はありません。固体に吸蔵されているガスを正確に把握することは核融合装置、食品の真空加工等多岐にわたる真空技術のなかで、真空の質を制御する観点から最近重要となってきました。 微量の重さをはかるのには電磁力を利用した天秤が用いられます(図2-9)。高い感度の条件で零点を一定に保つのには計算機と電子回路を組み合わせた特殊な工夫が必要です。試料の周りには熱を加えてガスを排出したり、ガスを注入する装置がついています。雰囲気を 500℃に保ち一定の水素ガスを供給しながらチタン合金の重量増加を計った例が図2-10です。チタン合金は一気に水素を吸い込むのではなく、吐いたり、吸い込んだりしながら段階的に水素を吸蔵していることが明らかになりました。表面現象としても興味ある発見と言えます。 |
参考文献
浜崎正則他, 電磁式真空天秤の試作, 真空,36 (3), 125 (1993). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1996 copyright(c)日本原子力研究所 |