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固体燃料である石炭をより使い易い石油のような液体燃料に変える石炭液化の技術開発が、国のプロジェクトとして通産省で進められています。 この開発で重要なことの一つは、液化反応器内の粉炭スラリーの流れの状況を正しくつかみ、その結果を次の設計に活かすことです。それには、高温高圧下にあるプラント内に追跡子(トレーサ)を注入し、その動きを外部から観測する必要があります。このような場合、かつては放射性トレーサがよく用いられたのですが、最近では、プラントの現場に少しでも放射能汚染を生じる実験は、実際上、実施が困難になっています。 そこで、トレーサとして非放射性で、かつ熱中性子吸収係数の大きい物質(ガドリニウム化合物)を用い、図3-15のように反応器出口部で中性子の透過計数率を測定し、トレーサ濃度の時間的変化すなわち反応器内物質の滞留時間分布等を石炭2.5トン/日が処理できる試験プラントで求めました(図3-16)。この際の要点は、測定箇所の管の内径、厚さ等の規模に応じて、十分なトレーサ検出感度が得られるように、中性子入射側と検出側の装置の構成設計を最適化することにありました。 現在、石炭処理量1トン/日(図3-17)や別に150トン/日の試験プラントが建設されており、原研はこの中性子吸収トレーサ計測の技術の面で、継続して協力を行っていきます。 |
参考文献
石川 勇, 石炭液化反応器へのRI技術の応用, Radioisotopes, 45(5), 349(1996) . |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1996 copyright(c)日本原子力研究所 |