4.3 新しい燃焼技術で放射性廃棄物の量を大幅に削減
   


図4-4  液中燃焼法の概念図

高温の燃焼ガスを水中に噴出して、冷却とガス成分の捕捉を行う燃焼技術です。

 


図4-5  廃溶媒残渣処理で発生するTRU廃棄物の量

液中燃焼法を適用することにより、TRU廃棄物の量を従来の固化法に比べて約100分の1まで減らすことができました。

 


 使用済核燃料からウラン(U)とプルトニウム(Pu)を回収(再処理)するために、リン酸トリブチルとドデカンとの混合有機溶媒を用います。有機溶媒はPuや核分裂生成物(FP)からの強い放射線及び濃硝酸によって一部が分解するため、繰りかえし使用していると回収能力が低下します。
 劣化した有機溶媒はFPや超ウラン元素(TRU)を含む液体有機廃棄物(廃溶媒)となり、現在では、プラスチック固化や分解固化などの方法で処理することが考えられています。しかし、将来は高燃焼燃料やU−Puの混合酸化物(MOX)燃料を再処理するので、廃溶媒に含まれるPu等のTRU量の増加が予想されます。
 原研では、TRUを含む廃溶媒の完全無機化とTRUの分離を可能とするための新技術として、液中燃焼法を開発して来ました。この方法は、廃溶媒を燃焼させて発生するガスを液中に噴出させるため、放射性物質の水中への閉じ込めが可能で、安全性を維持できます。完全燃焼が得られるため、無機化された廃液からはTRUが容易に分離できます。この結果、TRU廃棄物の量は従来の固化法に比べ百分の一まで減少させることが可能となりました。
 TRU廃棄物は長期間の保管管理を必要とするので、液中燃焼技術の確立は、安全性に対しても、また経済性の面からも重要な課題を解決したことになります。


参考文献

G. Uchiyama et al., Development of Spent Solvent Treatment Process by Submerged Combustion Technique, J. Nucl. Sci. Technol., 31(3), 228 (1994).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1996
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