4.5 原子炉解体技術の最前線−JPDRの安全な解体完了
   

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図4-9  JPDRに使われた遠隔切断装置

JPDRの解体には種々の遠隔切断装置が使われました

 


 原研の動力試験炉(JPDR)が我が国で初めて原子力による発電を開始したのは昭和38年ですが、現在、我が国では50基の発電用原子炉が運転されるまでになっています。これらの発電用原子炉の稼働期間は30年〜40年と見込まれており、21世紀には、これらの原子炉の解体が必要になるものと考えられています。従って、発電用原子炉の解体に必要な技術の開発は、原子力の開発利用を確立する上で不可欠であると考えられています。
 このような状況から、原研では、昭和56年から発電用原子炉の解体に必要な技術の開発と、開発した技術を用いてJPDRを実際に解体するJPDR解体実地試験を進めてきました。JPDRの解体は我が国で初めての発電用原子炉の解体ではありましたが、遠隔切断装置などを用いて事故もなく安全に行われ、平成8年3月に全ての作業を終了しました。解体によって生じた廃棄物は24,400トンで、うち3,770トンが放射性廃棄物でした。これらの放射性廃棄物は全て安全に管理されています。
 JPDRの解体の実施によって、発電用原子炉が安全に解体できることが実証されました。また、解体作業に要した人工数、被ばく線量、廃棄物発生量などに関する詳細なデータは21世紀に予測される発電用原子炉の解体に活用するため、解体データベースとして収集・整備しています。
 なお、原研では、JPDRの解体によって得られた知見等をもとに、発電用原子炉の解体の安全性等をより一層高めるための原子炉解体技術の高度化を進めています。


参考文献

宮坂靖彦他, JPDR解体実地試験の概要と成果, 日本原子力学会誌, 38(7), 3(1996).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1996
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