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高温工学試験研究炉(HTTR)で使われている制御棒は、耐熱性が要求されるため、その構造材には耐熱合金(Alloy 800H)が用いられています。HTTRのような高温ガス炉の燃料と炉心黒鉛はセラミックスのため極めて耐熱性に優れています。もし制御棒構造材を全てセラミックス材で構成できれば、高温ガス炉の炉心は、より高温に耐え、核反応の制御がより容易にできるようになります。そこでHTTRの制御棒構造材に、高温強度が優れていると考えられる炭素/炭素複合材を用いることを検討しました。 炭素/炭素複合材として、ピッチ繊維あるいは高分子材(polyacrylonitrile:PAN)繊維と炭素材の複合材料を採用しました。制御棒は、中性子吸収物質の炭化ボロンペレットをペレット容器にいれるような構造になっています。 炭化ボロンペレット容器は安全上強度が必要です。この強度を確認するため、容器複合材にかかる荷重と変位の関係を測定しました。その結果、図5-1に示したように、従来用いられてきた黒鉛材と比較してピーク荷重を過ぎた後も大きな変位を伴い、亀裂の急速な進展を防いでいることが判ります。このような塑性変形に似た特性はペレット容器の材料に適していると考えられます。 |
参考文献
E. Eto et al., Development of Carbon/Carbon Composite Control Rod for HTTR (1) -Preparation of Elements and Their Fracture Tests, JAERI-Research 96-043 (1996). |
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