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原子炉で使用された燃料中には核分裂生成物(FP)のほかにネプツニウム(Np)、プルトニウム(Pu)、アメリシウム(Am)等の超ウラン元素(TRU)が生成します。これらの核種の多くは数万年以上の長い半減期をもつため、使用済み燃料の再処理から発生するTRUのより優れた処理処分法の開発が期待されています。一方、発電コストを下げるために燃料をできるだけ長時間燃やす、いわゆる燃料の高燃焼度化が進められており、この場合TRUの生成量はますます増加します。なかでもNpはPuを除いたTRUの約6割を占め、注目を集めている元素です。 原研では、高燃焼度燃料の健全性とTRUの再利用をめざしてPuとTRUを含んだ新しい混合酸化物の開発を進めています。そこで、系統的な研究の一環としてNpを中心にこれらの基礎的物性について研究を行っています。図7-3は、原研がはじめて提案した1000℃におけるU-Np-O三元系相平衡状態図です。均質な固溶体相(MO2+x)がUO2-NpO2-U0.4Np0.6O2.27-UO2.25で囲まれている全域に亘って存在するという結果から、燃焼時に生成したNpは燃料マトリックスの中に均質に分散、固溶していることが推測されます。このことは、Npが溶解しても燃料の結晶構造は変化せず、燃料が健全であることを示しています。 |
参考文献
T. Yamashita et al., Phase Relations of Uranium-Neptunium-Oxygen System, J. Alloys Comp. 213/214, 375 (1994) . |
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