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放射光は、光速度に近い速さの電子が磁場を通過する際、ローレンツ力によって運動方向が曲げられる時発生する光です。この光は遠赤外からX線の広範な連続スペクトルをもつ指向性の良い強力な光源なので、光に対する回折、分光、吸収、散乱、共鳴などの応答を観測することにより物質の物理的・化学的性質を調べる手段として有効であり、物理・化学・医学・生命科学・材料科学・地球科学等、広い分野の研究に利用されています。 物質と光の相互作用は波長によって変わるので、アンジュレータとモノクロメータを組み合わせて、研究目的に適する特定の波長で輝度の高い単色光を作ります。アンジュレータは、磁石のN・S 極を交互に一列に並べたもので、この中を通過する電子ビームは蛇行して高輝度の放射光を発生します。磁石を一定周期配列した従来のアンジュレータは、必要な周波数の整数倍の高調波が重畳するため、観測に不都合をきたしていました。そこで磁石を準周期配列することにより、高調波を非整数倍のところに発生させるようにすると、モノクロメータにより必要な波長だけのきれいな単色光を得ることができるようになります。これにより観測精度が飛躍的に向上し、余分な熱負荷を無くすることができるなど、新たな研究の展開が期待されます。 |
参考文献
S. Sasaki et al., Conceptual Design of Quasiperiodic Undulator; Rev. Sci. Instrum., 66(2) 1953 (1995). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1996 copyright(c)日本原子力研究所 |