10.1 果てしなく広がる中性子科学の世界への第一歩
   

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図10-1  中性子科学研究施設構想

 


 陽子加速器のビームを利用すると基礎科学及び工学を含む幅広い分野での研究開発並びに工業、医療等への応用が飛躍的に進むと考えられます。原研では従来の原子炉利用研究のほかに、次項に紹介する大強度陽子加速器の陽子ビームをターゲットに入射することにより発生する大量の中性子等を利用して、物性物理、材料開発、核物理、放射性核種の消滅処理、新元素探索、ミューオン・中間子科学、医療照射、RI製造等の様々な研究を行う構想を持っており、中性子科学研究計画と呼んでいます。中性子科学のすばらしさは、中性子が電気的に中性であり、かつ質量が光子や電子と比べてかなり重く、また物質波としての波長が手頃なため、原子核や分子構造に直接に働きかけられることによります。これらの利点は、光子や電子線の利用では得難いのです。
 陽子加速器と利用研究施設は、平成8年度に概念検討を開始し、第1期計画として陽子エネルギー 1.5 GeV、ビーム電流 1 mAの陽子加速器を整備し、最終的に世界最高規模の1.5 GeV、10 mAまでビーム強度を増加し、基礎科学から原子力分野までの研究開発を幅広く行います。
 すでにターゲット関連の核反応に関する実験研究と放射線遮蔽の研究を進めており、ターゲットの伝熱工学に関しても予備的実験研究を8年度に開始しています。


参考文献

第1回「大強度陽子加速器の利用」に関するワークショップ, a href="http://jolisf.tokai.jaeri.go.jp/pdf/conf/JAERI-Conf-96-014.pdf" target="_target">JAERI-Conf 95-017 (1995).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1996
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